トッキーチャックGOGO
あの拉致の後、いろんな事があった。
大学受験も控えていたし、何より心のケアが必要だった。
そんな時出会ったのが彼だった。
ほんの気晴らしにと、居酒屋のバイトを始めた。受験勉強の妨げにならない程度、時間を潰すためだけに。
元々、受験自体は今の学力ならすんなり入れそうで、あくまで事件を忘れるためだけにそうした。

彼は、バイトリーダーだった。
天性の明るさで周りわ盛り上げる、そんなタイプの人だったから私の態度にも何か感じたのかも知れない。
すごく気を使ってくれて、親身になって話を聞いてくれた。
それはそれで、悪い気はしなかったし好感を持ってくれていてので、付き合うのも必然だったかも知れない。
まぁ、こうしてても干渉しあわない生活も悪くないと思う。

彼は、オタク気質でいろんな事に精通していた。
もちろん、ヒーローにも。
日本のものからアメコミまで実によく知っていた。
私自身、別段ヒーローに詳しい訳ではなく、話の中でヒーローたる者の存在に真実味を持っていなかったのだ。
あの日までは。





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