僕らの涙はきっと明日につながっている
「もう行かなきゃ!」

私は立ち上がり、身支度を整える。家から出ると憂鬱が一気にまた襲いかかってきた。嫌だ、行きたくないよ。でも、行かなきゃ。私は強いんだから……。

そう言い聞かせながら道を歩く。同じ学校の人が何人かいた。みんな楽しそうに笑っていて、羨ましい。同じ人間でもどうしてこんなに運命が違いすぎるんだろ。

私の名前は夏芽。どんな辛い状況でも希望の芽を伸ばしていってほしいという願いを込めてお父さんが名付けた。でも、その通りの私なのかな?もうわかんない。理想通り生きれたらどれだけ楽だろう。

暗い気持ちがグルグル渦巻く中、スマホにラインが送られてきたことが知らされる。スマホを見て、私はホッとした。私の恋人の瞳(ひとみ)ちゃんからだ。

私は両性愛者。男性も女性と恋愛対象。男性と付き合ったこともあるけど、今はいとこの瞳ちゃんと付き合っているんだ。瞳ちゃんはここから遠く離れた神戸に住んでいる。

『おはよ〜!今度、そっちに遊びに行くんだ。久しぶりにデートしたいな〜。ダメ?』
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