僕だけが独り占めしたい。
「手貸して」



わたしの手が海翔くんの心臓に当てられた。

思ったよりも硬い胸板にわたしの心臓は加速を続けたけど、海翔くんの心臓もわたしと同じくらい加速を続けていた。




ずっと冗談だと思っていて、わたしをからかうために言っているのだと思っていて。



「おれもドキドキしてるみたい」




顔がふたたび赤く染まるわたしをみて、海翔くんが笑っていた。

たぶんからかってだけど、それでもいいと思える自分がいて、海翔くんが笑っていればいいと思っている自分もいて、だからわたしも笑った。




わたしは海翔くんがすきだよ。

わがままなところも、やる気がないところも、表情がすぐ表にでるところも、それなのに、何考えてるか掴みにくいところも、甘えるところも、わたしをからかうところも。

ぜんぶぜんぶ、大好きだよ。








END
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