僕だけが独り占めしたい。
困ったように眉を八の字に下げている海翔くんが可愛いなあ、と勝ち誇った気持ちでいたのに、急に腕を引っ張られてバランスを保てなくなった。
わたしの膝の上で寝ている海翔くんのほうに傾いて、顔がぐっと近づく。
「何するの」って言おうと思ったのに、
「ん……んっ」
部屋に響いたのはわたしの声じゃなくて、小さなリップ音で、わたしが驚いて離れたからゼロセンチだった距離が徐々に離れていく。
でも微かに残るぬくもりがあった。
「芙結がぜんぜん信じてくれないから……」
いつもはかわいいのに、キスのときは"男の人"になってるし、いつもは芙結ちゃん、芙結ちゃんって呼んでくるのに、今日に限って"芙結"って呼んできて、ドキドキと驚きが重なったわたしはしばらく言葉を発することができなくて。
わたしの膝の上で寝ている海翔くんのほうに傾いて、顔がぐっと近づく。
「何するの」って言おうと思ったのに、
「ん……んっ」
部屋に響いたのはわたしの声じゃなくて、小さなリップ音で、わたしが驚いて離れたからゼロセンチだった距離が徐々に離れていく。
でも微かに残るぬくもりがあった。
「芙結がぜんぜん信じてくれないから……」
いつもはかわいいのに、キスのときは"男の人"になってるし、いつもは芙結ちゃん、芙結ちゃんって呼んでくるのに、今日に限って"芙結"って呼んできて、ドキドキと驚きが重なったわたしはしばらく言葉を発することができなくて。