花火の見えるその日に。私は。
私と蓮の過去
私は小学生のころ、陸上をしていた。
陸上を、自分でしたかった訳では無い。
蓮と同じクラスで元々足の速かった私に誘ってきたのだ。
もちろん最初は嫌々はじめた陸上だった。
走るのは好きだったけど、好きだからこそ
専門的に習って、息の詰まるような練習はしたくなかった。
でも陸上は思ったより楽しかった。
どうせ走るだけ。
なんて思っていたのに。
大会で1位になる嬉しさ。
足が速くなると自分は弱くない。大丈夫。
って思える。
だんだん陸上が好きになっていった。
半分は蓮と一緒だったからだって後からわかったけど。
「蓮!!次1500m走ろう!!」
どうしてあんなにがんばれたのか不思議だった。みんなが嫌いな長距離も大好きだった。
蓮と私はいつでも一緒で2人で全国大会にまで出場していた。
だが、親の都合で蓮が転校することになった。
「蓮··········。 どうして行っちゃうの??」
私は辛かった。いつも悲しい時、辛い時は2人で支え合ってきたのに突然遠くへ引っ越してしまうことになるなんて·····。
「ごめんね。 彩葉ちゃん。」
それを聞いたのは夏祭りの日だった。蓮と一緒にいくのをずっと楽しみにしてた。
これからもずっとこんな風にと思っていたのに··········。
「2人で全国大会優勝しようね。」
この約束は蓮が転校するときにした。
花火がみえる丘の上で。
全国大会に出場すればまた私たちは会える。
そこでお互い優勝しようって。
でも蓮が転校してから1年が経ち小学6年生になった頃。
私は県大会のリレーで足を骨折した。
チームは失格。親からは陸上なんてするからと軽蔑された。
親の反対を押し切り勉強としっかりやるという理由で陸上をはじめたからだ。
そして友達からはいじめられた。
毎日トイレにとじこめられ、
机の中にはゴミを入れられる。
先生に助けを求めても知らないフリをされる。当然親にも相談できない。
仲が良かった蓮もいない。
私は心の寄りどころをなくし、大好きだった陸上。大好きだった人。
全てを失った。
そして、私は走れなくなった。
あの時。蓮くんから逃げる時。
走ったのは何年ぶりだろうと思った。
私まだ走れるんだって。
そして、中学校は全てを避け、
特になんの思い出もない日々を過ごした。
だからこそ高校は、遠いところを目ざして。
私を知ってる人がいないところにいって。
陸上を忘れて楽しく過ごそうと思った。
また蓮くんと会えるとは思ってもいなかった。
嬉しいけど、
また一緒に走りたいけど。
約束も守れない私に、
蓮くんが私があの彩葉だよって気づいてしまったらどんな顔して話せばいいのかわからない。
だからバレないように。
気づかれないように過ごそう。
陸上を捨てて、家族も蓮くんも全て··········
陸上を、自分でしたかった訳では無い。
蓮と同じクラスで元々足の速かった私に誘ってきたのだ。
もちろん最初は嫌々はじめた陸上だった。
走るのは好きだったけど、好きだからこそ
専門的に習って、息の詰まるような練習はしたくなかった。
でも陸上は思ったより楽しかった。
どうせ走るだけ。
なんて思っていたのに。
大会で1位になる嬉しさ。
足が速くなると自分は弱くない。大丈夫。
って思える。
だんだん陸上が好きになっていった。
半分は蓮と一緒だったからだって後からわかったけど。
「蓮!!次1500m走ろう!!」
どうしてあんなにがんばれたのか不思議だった。みんなが嫌いな長距離も大好きだった。
蓮と私はいつでも一緒で2人で全国大会にまで出場していた。
だが、親の都合で蓮が転校することになった。
「蓮··········。 どうして行っちゃうの??」
私は辛かった。いつも悲しい時、辛い時は2人で支え合ってきたのに突然遠くへ引っ越してしまうことになるなんて·····。
「ごめんね。 彩葉ちゃん。」
それを聞いたのは夏祭りの日だった。蓮と一緒にいくのをずっと楽しみにしてた。
これからもずっとこんな風にと思っていたのに··········。
「2人で全国大会優勝しようね。」
この約束は蓮が転校するときにした。
花火がみえる丘の上で。
全国大会に出場すればまた私たちは会える。
そこでお互い優勝しようって。
でも蓮が転校してから1年が経ち小学6年生になった頃。
私は県大会のリレーで足を骨折した。
チームは失格。親からは陸上なんてするからと軽蔑された。
親の反対を押し切り勉強としっかりやるという理由で陸上をはじめたからだ。
そして友達からはいじめられた。
毎日トイレにとじこめられ、
机の中にはゴミを入れられる。
先生に助けを求めても知らないフリをされる。当然親にも相談できない。
仲が良かった蓮もいない。
私は心の寄りどころをなくし、大好きだった陸上。大好きだった人。
全てを失った。
そして、私は走れなくなった。
あの時。蓮くんから逃げる時。
走ったのは何年ぶりだろうと思った。
私まだ走れるんだって。
そして、中学校は全てを避け、
特になんの思い出もない日々を過ごした。
だからこそ高校は、遠いところを目ざして。
私を知ってる人がいないところにいって。
陸上を忘れて楽しく過ごそうと思った。
また蓮くんと会えるとは思ってもいなかった。
嬉しいけど、
また一緒に走りたいけど。
約束も守れない私に、
蓮くんが私があの彩葉だよって気づいてしまったらどんな顔して話せばいいのかわからない。
だからバレないように。
気づかれないように過ごそう。
陸上を捨てて、家族も蓮くんも全て··········