THE 不毛

「おらよー」

台所からプリンと林檎ジュースのボトル、グラスを手に戻ってきた花伊。

「あーーーーーーん」


「おめーは雛鳥か」

「ピヨピヨピーチク(棒)」

ずっと口を開いているのにも、顎が疲れたのかむくりと起き上がる晶。


「おら、口開けろ」

「おぐっ」

いきなり口のなかに突っ込んできたスプーンに、妙な声をあげながら嬉しそうに口をモグモグと動かす晶。


「わーにぃ ダメ人間になっぞ」

グラスにジュースを注ぎながら、花伊は言う。

「別に花伊がお世話してくれるからいい」


「よかねーよ」

「花伊じゃなくてもいいわけじゃない」

「あん?」

「あーん」

「ジュースは?」

「飲むー」

「へいへい…手ぇ出しな」
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