忘れ人

「俺たちが表立って動くと余計にことを拗らせそうだから、今は何もしない。」

何のこと?というのは愚問だろう。

私のいじめのことだ。

ただな、と菅原が続けた。


「現場を見かけたら当然動く。仲間がやられてるところを知らんぷりしてスルーするほど俺たちは落ちぶれていない。」

「それが私の望んでいることではなくても?」

「ああ。」

へー、その仲間とやらの嫌がることをするんですか。

なんて素敵な心意気!


と、皮肉がポンポン思い浮かぶけど流石にそれを口にだすほど私は馬鹿じゃない。


「それに、いずれ必ずやめさせる。お前がどう思おうとだ。」


菅原の言葉に、思わず口がヘの字になる。


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