忘れ人
「お前が何を考えてるのか、さっぱり分からないけどな、秋峰。」
菅原の漆黒の瞳に、吸い込まれそうになる。
囚われたら逃げ出せなくなりそうで・・・怖い。
「構い倒して、ここをお前の居場所にしてやる。」
そう言って生徒会室の床を軽くトントン、と蹴った菅原が、悔しいことにとてもかっこよく見えた。
「・・・勝手にしたら。」
「ああ。勝手にする。だから・・・覚悟しとけよ?」
腰に響く低い声に、ゴクリと唾を飲み込んでしまったのは、私だけの秘密。