忘れ人

コポコポコポ・・・


ふわっとコーヒーの香りが広がる。

鼻腔をつく、苦い、苦い香り。


その、香りが、酷く懐かしい。




『朱莉ったら、またそんなもの飲んでる!苦くないの?あたし絶対ムリ!』



ああ・・・懐かしい。

誰かのためにお茶をいれるのは、“あの日”以来だ。




「大丈夫か?」



「え・・・?」


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