忘れ人

ボーッとしていたら、突然後ろから抱きこまれるようにして手首をとられた。


「コーヒー、溢れてる。」

「あ。」


いけないいけない。

慌てて傾けていた腕を戻す。

けど、すでにテーブルをコーヒーがぬらしていて。


布巾を手に取り拭いていると、じっとこちらを見つめてくる男に気づいた。



「何ですか、会長。」




「・・・いや。なんでもない。」




なんでもないんかい!!!




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