忘れ人

「か、金森くん!」

先輩たちの慌てふためく様子がいっそ滑稽に見える。

この展開を予想していたものでも、はたまた望んでいたわけでもないけど。


「この子さあ、生徒会の大事なお姫様だから。手、出したら、俺らが黙ってないからね。」


あくまで笑顔で。

お姫様、だなんて砂吐きたくなるようなクサイワードを口に出す金森の目の中には、ひやりとする何かぎあった。

先輩たちもそれに気づいた、いや、わざと気づくようにしてるんだろうな、こいつは。

さっきまでの剣幕はどこへやら、あっというまに去っていった。

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