忘れ人
菅原 海斗 side
「副会長はちゃんと顔を出しているか?」
理事長室に呼び出され、生徒会メンバー全員で足を運んだ。
何の用事かと思えば、いきなりそう言われた。
「目は大丈夫ですか?俺はここにいますが。」
相変わらずの毒舌を披露する副会長の菊池 雪也。
眼鏡のガラスごしに見える瞳は尖っている。
「ああ、違う違う。菊池じゃなくて、女子の方。」
「「「「「は・・・?」」」」」
女子の方って、女子の副会長ってことか?
「女子の副会長は空席のはずだろ?」
戸惑いがちに確認したのは、剣崎 誠。
生徒会会計だ。
戸惑っているのは誠だけじゃない。
俺たち全員だ。
そんな様子を見た理事長はハァーっと大きなためいきをこぼす。
「あー、やっぱり行ってなかったか。だと思ってた。」
クシャクシャ、と髪を乱す理事長。
どういうことだ・・・?
「伝達がうまくいっていなかったみたいで、すまなかった。実は・・・
生徒会メンバーは、もう1人いるんだ。」