忘れ人
「もう、1人・・・?」
怪訝そうに繰り返したのは、濱崎 千尋。
生徒会書記だ。
「ああ。入学前の春休みに通達したんだが、拒否されてな。まあ、拒否権がないのはお前ら知ってるだろ?だから役職を準備してたんだけどな。」
マジで顔だしてないのかあ!とうなだれる理事長。
いやいや、ちょっと待て。
「どうして俺たちには彼女の存在が知らされていなかったんですか?」
俺の問いを雪也が代弁してくれる。
全くだ。
「あー、だからな?通達ミスだ。悪かったな。」
そういやコイツ、どこか抜けてる残念な理事長だったな。
「まあ、安心してくれ。彼女もまた、生徒会・・・忘れ人の会に入る条件を満たしている。」
その瞬間、俺たちは目と目を合わせる。
そして、導き出される答えは一つ。
「条件を満たしているならば、俺たちはそいつを歓迎する。」
代表して俺が伝えた、俺たちの答え。
それに、理事長はにこりと笑った。
「そういうと思ったよ。彼女の名前は・・・」