忘れ人
「秋峰、朱莉・・・」
ポツリと誰かがその名前を呟く。
秋峰朱莉。
俺たちでも知っている、有名な生徒だ。
「秋峰朱莉って、あの秋峰朱莉ー?」
チャラそうな雰囲気のコイツは、金森 悠。
生徒会庶務だ。
「多分、お前らが言っている秋峰朱莉で間違いないと思うぞ。」
理事長の肯定に、俺らは再度顔を見合わせる。
秋峰 朱莉。
彼女は、学園における弱者だ。
顔は常に隠されていて、声を聞いた人もいない。
いじめの標的となっていて、ストレス発散するには彼女を使えばいいという話さえある。
いずれはどうにかしなければと思っていたが・・・