メーティスの告白
「村田刑事、あの研究センターを調べることはできないの?」

美咲の言葉に、村田刑事は「腕時計が落ちていただけじゃ証拠にはならない。もっと確証を得ないと調べようにも調べられないな」と悔しげに言う。

「でも、あの感染症研究センターに宍戸は監禁されているような気がする」

透は腕時計を見つめながら言った。証拠という証拠はない。しかし、透は勘で玲奈があそこにいるとわかってしまった。

「犯人は誰だと思う?」

美咲の問いに、透は「倉木洋一」と答えた。全員共通の知り合いは彼しかいない。美咲は目を見開いていた。

「倉木さんが犯人だとしたら、こんな事件を起こす動機がわからないんだけど」

「それは本人に聞くしかないですよね」

透は覚悟を決め、立ち上がった。



夜になると、玲奈の心は緊張に包まれる。洋一といる時間が異常に長くなるからだ。

「宍戸さん、今日はご飯食べる?」

「……いらない」

「もうずっと食べてないような気がするけど」
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