私のご主人様~ifストーリー~
「ッ!?うぅ……うわぁぁぁん!!」
「っえ゛!?ちょっ…ここちゃん、そこ泣くとこ!?」
「信洋黙れ」
季龍さんに子どもをあやすようにポンポンと背を叩かれる。
泣き止まなきゃいけないのに、全然止まる気配のない涙は結局屋敷に到着しても止まらなかった。
「琴音、深呼吸しろ」
「…スゥ…ッンふぇ……」
深呼吸すらままならず、またポロポロ流れていく涙。
季龍さん頬を伝う涙を拭ってくれるものの、流石に困り果てた顔をしていた。
「あー!ほら!さっさと車降りて、屋敷に入る!」
「泣き止んでねぇだろ」
「言っちゃ悪いけど、ここちゃん涙止めらんないだろ!若が責任もってここちゃんが落ち着くまで部屋であやしてろ!」
「平沢たちにバレるだろうが!」
「泣き張らした顔してたらどのみちバレるだろ!さっさと腹くくれ、若!!」
口ケンカの応酬だったけど、結局信洋さんが後部座席を開けて私もろとも季龍さんを引っ張りだし、自身は早々に車庫へ向かっていった。
外に出されてそのままと言うわけにもいかず、季龍さんは観念したように私の手を引いて門をくぐり、玄関の戸を開けた。