私のご主人様~ifストーリー~
「ッウゲ」
「おかえ…あ゛?」
「うぅ…」
タイミングが悪いと言うのかなんなのか、玄関を開けた瞬間に顔を出したのは平沢さんで。
季龍さんは思わず心の声が漏れたような声を出していた。
眉間に激しくシワを寄せ、ドスドスとこちらに近づいてくる平沢さんは迫力満点だ。
そして、ぞろぞろとお出迎えに出てきてくれたらしい人たちは、平沢さんの気迫に押されているのかちょっと離れた場所からこちらを見ていた。
そんな人たちも私の顔を見た瞬間、目を見開いていた。
平沢さんは裸足で玄関先まで降りてくると、突然季龍さんの胸倉を掴む。
「てめぇ、俺の娘を泣かせるたぁ、どういうことだ」
「…」
季龍さんを殺しちゃうんじゃないかってくらい、眼光の鋭い平沢さんに慌てて弁解しようとするけど、喉が引っ掛かってうまく声が出せない。
「…ッヒク……ひ、平沢さん……ッンわ、私」
「ここちゃんを父親の元に同意もなく置いてこようとしたせいでーす」