私のご主人様~ifストーリー~
「違う。琴葉、それは願いだ。お前が子どもを想って、叶えたかった願いだろ」
…願い、そんなきれいなものにしてしまえるほど、私の思いは澄んでいないのに。
愛する人と、息子を天秤にかけて、勝手に息子の独り立ちを決めつけて、勝手に姿を消した。
そんな、最低な母親なのに。
「俺は、ずっとお前が俺の隣に戻ってくることを待ってた。今、息子がお前を取り返しに来ても、返り討ちにする」
「…」
「どんな手を使ってでも、俺はお前を手放さねぇ。例えお前が、俺から離れようとしてもだ。…こう言うのが欲だろ」
「さっきと言ってること、変わってますよ」
「あ?」
凄まれても怖くない。
口からこぼれた笑いに、季龍さんも表情を柔らかくさせる。