私のご主人様~ifストーリー~
少し強気に出てみたけど、季龍さんはなぜそうなると言わんばかりの顔をして、大きなため息をついた。
「若頭に指名されたのは、10年前だ。…若頭になるまで、俺はお前がここを去ったことを知らなかった」
「え?」
季龍さんの一言に思わず耳を疑った。
なら、あの差出人不明の荷物は…。
私がここを離れてから、毎年必ず焔の誕生日が近づくと送られてきていた。
季龍さんが何らかの方法で送ってきているものだと信じて疑わなかったそれの存在が一気に揺らぐ。
じゃあ、あの荷物は一体誰が…。
「お前に関する情報は、親父でさえ知らなかったよ。信洋が全てガードしてたからな」
「逆に言えば、信洋さんだけが私のことを知っていたんですか」
「あぁ。俺は、あの日以来お前に会うことを禁じられていた。組長の娘に手を出した挙げ句、責任を放棄したんだ。あれで済んだのが逆に可笑しかったけどな」