私のご主人様~ifストーリー~
2人が差し出してくれた手に引っ張られて部屋まで戻る。
瞼の上に氷袋を直接当てられて、すごく冷たいのに、その冷たさが酷く心地よかった。
誰もなにも言わないまま、時間だけが過ぎていく。
ふと氷袋をどけて目を開けると部屋には誰もいなかった。
側に転がっていたのは、平沢さんに渡されたメモとボールペン。
タイムリミットまで、あと1時間もない。
…分かってる。
季龍さんが私を置いて行こうとしたことも
信洋さんがあえてああ言ったのも
暁くんと奏汰さんがなにも聞かなかったのも
全部、全部私を思ってくれてるからだということを
生半可な道じゃない
全てを失う覚悟で行く道だ
だからこそ、ついてこないように、ついてこれないように、突き放そうとしてくれたんだ。