私のご主人様~ifストーリー~

手元に用意した書類を確認して、リビングに行った。

1人、ソファーで指輪を眺めてるお袋の姿を認めて、リビングに入るとお袋は特に驚いた様子もなく俺に視線を向ける。

「焔(ほむら)?」

「…」

どうしたの?って微笑むお袋の前に調べてきたそれを放る。

バサッと音がして机に広がったそれを手にしたお袋は、やっぱり驚いた様子もなかった。

「話せよ。“親父”のこと」

「…」

「全部、知ってんだぞ。俺の“親父”は、ヤクザなんだってことも!」

「…」

「お袋!!」

お袋はゆっくり俺に視線を向ける。

ひどく落ち着いたその態度に苛立ちが募る。

お袋は知ってた。俺がずっと、警察を目指してきたこと。

お袋はずっとそんな俺を応援してきてくれた。それなのに。

“父親”がヤクザだなんて、そんなのどうすりゃいいって言うんだよ。

俺には警察になれる資格はないのに。

夢を見続けさせてきたお袋に幻滅して、全てを聞き出そうと決意した。

少しくらい、動揺すればいいってのに、お袋は何にも驚かなくて俺が調べあげた“父親”の情報に目を通してるだけだ。
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