私のご主人様~ifストーリー~

平沢さんはゆっくりと広間を見渡すと、大きく息を吸った。

「各自、自分の意思を示せ!」

田部さんと平沢さんはほぼ同時に左右に別れていく。

それを合図に、ぞろぞろと動き出すみなさん。

その表情は様々で、中には躊躇うように足を動かす人もいる。

それでも、広間の中でそれぞれの歩む道へ別れていく。

その様子をぼんやりと眺めていると、不意に抱き締められる。そんなことをするのは季龍さん以外にいるはずもなくて。

顔を上げると、季龍さんは苦しげな顔をしていた。

「琴音、お前は…」

「…私が、選んだ道です。季龍さんのせいじゃない。…だから、そんな顔しないでください」

季龍さんの頬にそっと手を伸ばす。
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