私のご主人様~ifストーリー~

優しい人。何も言われていなくても、分かっているはずなのに。

季龍さんはしばらく黙ったあと、ゆっくりと私を離してくれる。

気づけばほとんどの人の移動は済んでいて、注目が集まっているように感じた。

1人で立ち上がり、平沢さんの方を見ればすぐに視線が重なった。

自分の足で、平沢さんの方へ歩んでいく。その少し後ろを季龍さんがついてくるように歩いてくるのが分かる。

そして、私が裏の世界へ行く人たちの中へ入ったのとほぼ同時に動き出す人たちがいた。

「あ、兄貴…」

「え、森末!?」

表に行く人たちから驚きの声が上がる。

こちらへ歩いてきた、奏多さんと森末さんは私の前で足を止めた。

そうして、広間に集まる永塚組の人たちは、自分の意思を示すように3つに別れていた。
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