私のご主人様~ifストーリー~
組長の娘という立場が、私のここでの立場になる。
頭では理解してる。それでも、実際多くの組員の人たちを前にしたとき私は、その立場に似合う立ち振舞いが出来るのかな。
…左の小指にはまっている指輪を見つめ、自然とため息がこぼれる。
「季龍さん…」
あの夜から一度も会っていない。
このお屋敷の広さからいって、組員の全員がここで寝泊まりをするなんて考えられない。
会えなくなっちゃうのかな…。
そんなことを考えて、首を横に振る。
覚悟が不十分だったみたいだ。
気持ちをしきり直していると、信洋さんに呼ばれる声が聞こえてきて急いで部屋を飛び出した。