私のご主人様~ifストーリー~

父親が“ヤクザ”なのに。

確かにおかしいことはたくさんある。だけど、確かに俺たちが今送っている生活は、“普通”の生活だ。

どういうことなんだ?

「焔」

お袋はまたポンポンって自分の隣を叩く。

癪だったけど、このもやもやを解決してくれるのはお袋しかいないこともわかってる。

大人しく隣に座ると、お袋はニコニコして俺を見上げてきた。

「焔、おっきくなったねぇ」

「いいから、俺が“自由”って言った意味教えろよ」

手を伸ばしてきたお袋に頭を撫でられる。その手を掴んで止めながら、さっさと話してと促すとお袋は渋々と言ったように手を引っ込めた。

「言葉の通りよ。焔は、自分が選んだ人生を自由に決められるわ」

「だからどうして」

「戸籍謄本見たでしょ?父親の欄、なかったよね」

お袋は俺が集めてきた資料のなかから戸籍謄本を引っ張り出す。

お袋の言う通り、父親の欄は空欄だった。
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