私のご主人様~ifストーリー~

15分くらいかな。

年齢層がだんだんと低くなるのと、知らない顔が増えていくのを感じながら出迎えを続けた。

そして、開かれた門扉が閉められる音を聞いて思わず視線を外に投げる。

…いた。

最後尾に並ぶ姿に思わず視線をそらす。泣きたい訳じゃないのに、なんで目頭が熱くなるんだろう。

息を吐き出して顔をあげる。丁度敷居をくぐった季龍さんと視線が重なる。

「…お帰りなさい」

「…あ、…ただいま、戻りました」

視線が重ならない。

よく見ないとよくわからないけど、季龍さんの手は荒れているように見える。

それに、まとう雰囲気はかつてのような覇気はなく、どこか疲れきっているように見える。

…たった数週間。私がぬくぬくとしている間にどんな経験をしてきたんだろう。

今すぐ抱き締めたい。…でも、そんなことを望んではいけないから。

わがままを押し込めて笑顔を向けた。
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