私のご主人様~ifストーリー~
「笑うとこですか?」
「いや?俺の娘は今日もおもしれぇなと」
「面白くないですよ」
お父さんは生返事をしながら、タバコの火をもみ消す。
「琴音」
ぽいッと投げて寄越されたものをとっさに手を伸ばして受け取る。かちゃと手の中で音を立てたそれは、どこかの鍵だった。
「早めの誕生日プレゼントだ。受けとれ」
「っえ?」
照れ隠しなのか、目線を合わせてくれない。
…そういえば、今は11月。
永塚組を出て、半年以上経っていた。12月25日、クリスマスは誕生日だ。
お父さん、覚えててくれたんだ。1ヶ月くらい、早い誕生日プレゼントだけど。
「年末年始は忙しいからな。ゆっくりしてこい。10日、休みをやる」
「休み…ですか?」
「ここに来てから朝昼晩の飯、家事にここにいる奴等の世話。あと、信洋とパソコンも弄ってんだろ。休んでこい」
そんなに休んでなかったかな…。
苦でもないから何も気にしてなかった。