私のご主人様~ifストーリー~
「森末さん、どこに行くんですか?」
「そんなに遠くないっすよ。組の目が届くところです」
お父さんに渡された鍵がどこの鍵か分からないまま、車から流れていく景色を眺めた。
30分くらい車が走ったあと、停まった建物の前で思わず唖然した。
「…た、タワーマンション………」
でかい、遠くから眺めたことあってもこんな真下から見たことなかった。
…いや、やめよう。田舎者みたいだ。
「琴音さん、俺はここで。そこのコンシェルジュに鍵を見せれば部屋は分かりますよ」
「あの、買い物とかはどうすれば…」
「後から部屋を訪ねて来る奴がいるので、そいつに聞いてください」
「え?」
護衛の人たちを差し置いて…?
違和感を覚えながらも、森末さんに背を押されてタワーマンションの中へ入っていく。
コンシェルジュに聞いた部屋は25階だった。
エレベーターに乗り込み、上昇する速度に気持ち悪さを覚えながら到着した高さに思わず足がすくんだ。