私のご主人様~ifストーリー~

その時、ガチャッと扉が開く音に背筋が凍りつく。

呼び鈴もなしに扉が開いた。ここに入ったときに鍵は閉めたはずだ。

森末さんがさっき言っていた後から来る人?お父さんが鍵を渡したということは…どういうこと?

混乱している間に足音が近づいてくる。

とりあえず挨拶する?い、いや待てよ。もし、泥棒だったら…。

1つドアの向こうに人影が見える。

咄嗟に台所に駆け込んで、目に飛び込んで来たフライパンを手にした。同時に開いたドアに向かう。

「え…」

「…」

ドアノブに手をかけたまま、こちらを見て固まる彼の姿を見つめる。

少し、痩せたのかな。何となくやつれて見える。目元にもうっすらとくまが出来ていて、ドアノブを握る手も荒れているように見えた。
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