私のご主人様~ifストーリー~
「食欲、あります?」
「…いや、…」
「…じゃあ、質問を変えます。どうしてここに?私はお父さんから休暇をやるって言われました」
らちが明きそうにないのを見て質問を変える。ついでに隣に座ってみた。
季龍さんは困ったような顔で、言葉を選んでいるような気がした。
「…俺も、同じです。…親父から休んでこいと言われました。…お嬢がいるのは、聞いてなかった…ですが」
「私も同じです。…お父さん、私たちを会わせてくれようとしたんですね」
笑いかけても、季龍さんは戸惑ったような顔のまま。
…話しにくい。とても、話しにくいですね。
「…ねぇ、季龍さん。ここにいる間は、前の関係のようにしませんか?私はただの琴音で、季龍さんも、平沢組の組員じゃない、季龍さんで」
「…俺は、そんな資格が…」
「ッじゃあ、組長の娘として命令します!前みたいに話してください!今はお休みなんです!お休みの時くらい、息が詰まるようなことやめましょうよ!」
こんなことに命令なんて使いたくなかった。でも、こうでもしなきゃ季龍さんは話してくれないと思う。