私のご主人様~ifストーリー~
「ゆっくり食べてくださいね」
「…いただきます」
食欲がなかったらと少し心配したけど、杞憂に終わった。おかわりまでしてくれた。
「ごちそうさまでした」
「ごちそうさまでした…。風呂、入ってこい。片付ける」
「…どこか行かないでくださいね」
「行かない」
「絶対ですよ!勝手にどこか行かないでくださいね!」
「分かった…」
若干呆れ顔をされてる気がする。
でも、どこか行っちゃいそうなんだもん…。大急ぎでお風呂から上がると、季龍さんはリビングで座ってた。
「…温まってないだろ」
「…温めてください」
両手を広げて言ってみると、季龍さんは目を丸くさせた後、フッと笑みを浮かべる。久しぶりに見たその笑顔に、頬が高揚するのが分かった。
季龍さんが広げてくれた両腕に飛び込むように抱きついてみる。
手当てのために近づいたのとは訳が違う。その温もりに込み上げてきたものを飲み込んで抱きつく力を強めた。