私のご主人様~ifストーリー~
「はっきりさせよう」
奏多さんの言葉に頷く。
その後、直行した薬局で購入した検査薬で出た結果は、想定していた通りの妊娠だった。
その足で向かった婦人科で、その結果は確定に変わる。
「おめでとうございます」
祝福の言葉を上の空で聞きながら、病院を後にする。
さっき、受付の人に言われたこともよく覚えていない。
頭がふわふわして、ただ呆然とするばかりだった。
屋敷に戻ってすぐにお父さんのところへ向かった。
「おろせ」
告げられた言葉は、淡々としていた。
浮わついていた気持ちは一瞬で消える。にこりともしないお父さんは、タバコを片手にしたまま目を合わせてくる。
「琴音、てめぇはガキだ。ガキがガキを育てられんのか?」
言葉を挟む前に、お父さんは続ける。
「いや、違うな。お前、今自分が置かれている立場を理解しろ。“組長の娘”がガキを生む意味を」