私のご主人様~ifストーリー~

言われている真意を測りかねていると、口を閉ざしていた奏多さんが息を吐く。

「お嬢、組長の娘が婚姻するのは、場合にもよるけど組長が認めた後継者のケースが多いんだよ」

奏多さんはみなまで言わない。でも、何となく察した。

子どもを生むということは、結婚すると捉えられやすくて。

組長の娘が結婚するのは、組長の後継者。つまり、若頭となる人。

生まれてきた子どもも、将来組を担う子と捉えられる。

…つまり、お父さんは。

「俺は季龍を認めてねぇ」

はっきりとした事実を突き付けられる。

私が季龍さんの子を産めば、いくら否定しようと、季龍さんが次の組長だと、若頭であると周囲は認識するだろう。

まだ、この組は安定していない。“たいした手柄”を上げていない季龍さんが、若頭であると広まれば、納得していない人たちからの不審は高まってしまう。
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