私のご主人様~ifストーリー~
この子が生まれれば、この組は混乱を極めてしまうかもしれない。
ようやくお父さんの一言が理解できる。
お父さんは、この子を産むことを許可してくれない。
はっきりと突きつけられた現実に、両手を固く握った。
「それにな、組の下っぱの子どもなんて、ろくな人生送れねぇよ」
吐き捨てるように言ったお父さんは、不意にタバコの煙を吐きつけてくる。
反射的に息を止めて、身を固くする。
立ち上がったお父さんは、その足で襖に向かう。話は終わりだと態度が示していた。
「奏多、1週間後、予約とっとけ」
「…分かりました」
何の、なんて言わなくても分かる。
部屋からお父さんが出ていっても、暫く動けなかった。
「琴音さん、戻りましょう?」
心結くんに促されるまで、どれだけ時間が経っていたんだろう。
自分の部屋に戻っても、動けなかった。
どうすればいいかなんて、考えるまでもないのに。