私のご主人様~ifストーリー~
「なんでなにも言わないの!?なんで!!」
「…」
「琴音さん!!」
騒ぎを聞き付けたのか、心結くんと奏多さんの姿が見える。
こっちに飛んでくるような勢いで来てくれた心結くんは、私の目の前で屈む。
「落ち着いてください。ゆっくり深呼吸してください」
心結くんの声と、ゆっくりと背中を擦ってくれる手に、自分がひどく速く呼吸していることに気がついた。
意識をしてゆっくり呼吸する。
そうしていると、速まっていた呼吸も、心音も落ち着いて、深く息を吐いた。
顔をあげたとき、季龍さんの姿はもうなかった。
「琴音さん、お風呂に入って、温まったら寝てください。布団、敷いときますから」
「…うん、ごめんね」
心結くんは笑ってくれる。
心結くんの言った通り、お風呂につかって温まると、平常心が戻ってくる。
今日は、もう何も考えずに眠ってしまおう。
布団に潜り込んで目を閉じた。