私のご主人様~ifストーリー~
その日から、ぼんやりしてしまう時間が増えた。
心結くんは文句も言わずにいつも通りに接してくれた。
何も考えちゃダメだ。もう、決められたことなんだから。
それでも、考えてしまう。考え続けて眠れなくなって、涙を止められなくなって…。
そんな日々を過ごし、気づけば、施術まであと1日。
「…」
あんなに泣いたのに。
あんなに、考えたのに。
全部、無駄にする。
分かってる。
でも、選べる選択肢は1つだけ。
光は付けなかった。手探りのように、廊下を進む。
誰にも見つからないように。気付かれないように。
でも、注意して進んでも、目的地で待ち伏せされたら意味がない。
玄関で待っていたのは奏多さんで、その表情は今まで見たことがないほど、険しかった。