私のご主人様~ifストーリー~
確かに、私の浅知恵で浮かぶのは、ドラマやマンガの世界での出来事だ。
例えば、組を抜けるのに小指を差し出すとか…。
…身を削る覚悟が甘かったのは、認める。
でも、それでもこの意思を曲げることだけは嫌だった。
「…確かに私は、この世界のルールを把握しきれていません。黙って出ていくことが、どれだけ重い罪なのかも」
「…」
「母親になるってことも、1人で育てることも、覚悟が決まりきった訳じゃない。
“今”子どもを授からなくても、いいのかもしれない。
…でも、“この子”は“今”しかいない。
“この子”を望んでる人がいないことも分かってる。
…でも、“この子”を簡単に諦めたくない。“この子”を否定したくない。“この子”に、選択肢をあげたい。…それじゃ、ダメですか?」