私のご主人様~ifストーリー~

「親父からの指示で、琴音ちゃん、キミを逃がすよ」

背後からそんな声と共に肩に置かれた手。

奏多さんもまた、仕方ないなって顔をしていた。

「お父さんの、指示?」

「立場上、表立って琴音ちゃんの意思を尊重できないですから」

森末さんは、あらかじめ用意していた毛布で私をくるむ。

…やっぱり、この人たちは優しすぎる。

本当に組のことを考えるなら、私を監禁してでも留めておくべきなのに。

大切にされている。尊重してくれている。

それがはっきりわかった。

「でも、琴音ちゃん。俺たちにできることは、キミを“逃がすこと”だけだ。これからの生活基盤は自分で整えなきゃいけないよ。もちろん、育児も、仕事も」

「分かっています。…信洋さんに技術は教えられてます」
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