私のご主人様~ifストーリー~

最高の親孝行だよ。

そう言いたいのに、言葉が出てこない。

結局抱き締めることにすると、恥ずかしがって引き剥がされた。

「つうか、お袋本当に働いてんのかよ」

「え、そこ?」

「俺、お袋が仕事してる印象、全くないんだけど」

疑心に満ちた目に少し、いや大分イラッとする。

稼ぐためにどれだけ頑張ったと…。

でも、口で言うだけでは通じないと判断して仕事用のパソコンを開く。

「ホームページ作成にシステム構築!今はフリーでやってるけど、焔が浪人しても余裕ですからっ!」

「縁起でもねぇこと言うなよっ!!」

間髪いれずに突っ込みを入れてくる焔は、改めてパソコンの画面を見つめている。

確かに仕事をしているところを見せないようにしてきた。

でも、だからと言って無職だと思われていたのは心外だ。
< 88 / 167 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop