私のご主人様~ifストーリー~
一通り見て納得できたのか、焔は顔をあげる。
「お袋は、本当に親父がどこで何してんのか知らねぇの?」
「知らない。生きているのか、死んでいるのかもね」
「…じゃあ、死んでるって思ってんの?」
「生きてるよ。絶対、死んでない」
これは確信だ。
断言できるだけの自信がある。
でも、その自信が焔に余計な疑念を与えることになってしまっていた。
それでも、焔はそれ以上追及してくる気はないみたいだった。
「…なぁ、本当に俺は自由に職につけるんだよな」
「うん、焔がなりたいものになれるよ」
「…分かった。お袋を信じる」
焔はそう告げると、うんと背伸びをする。もう随分遅い時間だ。
寝ると言いながら立ち上がった焔は、その足でリビングを出ていこうとする。
ふと、足を止めた焔は僅かに振り返る。