私のご主人様~ifストーリー~
焔は何事もなかったように過ごすことを決めたようで、あれから父親のことも生い立ちのことも聞こうとすることはなかった。
無事に大学の合格を決め、友だちと卒業旅行にも行った焔は、本当に楽しそうだった。
高校の卒業。
もう18歳なんだよね。成長していく焔をずっと見ていたはずなのに、改めて実感する。
そして、18年何とか生きてきたことを、実感する。
友だちと笑う焔の姿に、叶えられなかった自分達の姿を重ねる。
ねぇ、季龍さん。私たちもこんな人生を歩んでいたのかもしれないんだね。
何も知らずに、平和に、当たり前の生活を送っていたのかもしれない。
私たちが選べなかった未来。
その未来を掴む息子に、心から祝福を送った。