私のご主人様~ifストーリー~
焔が成人式を終えた2日後。
まとめた最低限の荷物。生活感を残した部屋。
それらを見て、息をつく。
…無責任だと、罵られるだろう。最低だと貶されるだろう。
それでも、これは私が選んだ未来。
キャリーバッグを手に家を出る。ふと、込み上げて来たものを堪え、家の鍵を閉めた。
「あら、琴音ちゃん。そんな大荷物持ってどうしたの」
背後からかけられた声に振り返ると、何かと世話を焼いてくれたおばさんがいた。
焔と1つ違いの娘さんがいて、仲良くさせてくれていた。
私と一回りくらい歳が違うせいで、40手前になった今でもちゃん付けで呼ばれたままだ。
「こんにちは。焔の成人式も終わったので、ひとり旅でもしようかなって」
「あら、いいわね。どこに行くの?」
「それが、まだ決めてなくて…」
「気ままな旅ってことね。楽しんでらっしゃい」
「ありがとうございます」