お兄ちゃんの友達と、秘密のキス。
そこでお兄ちゃんが名前を呼ぶと、キッチンでお母さんと話していたらしいお兄ちゃんの友達が、ひょいとこちらに顔を出した。


……えっ。


その姿を見た途端、息が止まりそうになる。


えぇ~~~~っ!! ちょっと待って。ウソでしょ?


なんで……。


すらっと伸びた手足、色白の肌、サラサラの黒い髪に、切れ長の瞳、耳に光るピアス。


そう。その抜群に整った容姿の人物は間違いなく……あの合コンで訪れたレストランの店員さんだった。


忘れもしない、あのとき助けてくれたお兄さん。


まさかこの人が、お兄ちゃんの友達だったなんて……!


ど、どうしよう。また会えちゃった!


私がギョッとした顔で固まっていると、お兄ちゃんがニコニコ笑顔で彼を紹介してくる。


「こいつ、アウトドアサークルの友達の七瀬(ななせ)美影。俺と名前似てるだろ~。最近すっげー仲いいんだよ」


七瀬さん……っていうんだ。


「しかも同じ法学部でさ。頭いいからテストの時はだいぶお世話になってんだよね~」


すると、その七瀬さんは私を見ながらすました顔で。


「どうも、はじめまして」



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