お兄ちゃんの友達と、秘密のキス。
「は、はい。この最後の問題だけ、解き方がわからなくて……」


「あぁ、これね……」


七瀬さんがそう言って問題に目を通す。


そしてサッとこちらに向かって右手を差し出したかと思うと。


「それじゃ解き方教えるから、ちょっとシャーペン借りていい?」


「あ、はいっ」


言われるがままシャーペンを手渡したら、七瀬さんはその問題を丁寧に解説してくれた。


まさか彼に勉強を教えてもらえるなんて。


それにしても七瀬さん、すごい。


こんな難しそうな問題、ちょっと見ただけですぐに解き方わかっちゃうんだ。


お兄ちゃんに聞くとたいてい「習ったの昔のことすぎて忘れた」なんて言われちゃうのに。


「す、すごいっ。なるほど。めちゃくちゃわかりやすいです!」


私が感心したように答えたら、七瀬さんはこちらを見てフッと優しく笑った。


「ほんと? よかった。じゃあ解いてみよっか」


「はい」



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