求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~
序章 思いがけない告白
平日、午後二時三十分のカフェは、やけに静まり返っていた。
昼時を逃したせいか、自分達の他に客はいない。
賑やかな話し声はなく、普段は流れている軽快な音楽も今はなぜか消えていた。
「あの……さっき、話していた映画だけど面白そうだよね、私も見に行こうかな」
本当はそれ程興味があった訳じゃない。
あまりに静かだから逆に黙っていられなくなり、なんとなく出した話題。だから返ってきた言葉は予想外だった。
「じゃあ、週末に行こうか?」
「え……」
(週末に行こうって、私を誘ってるんだよね? いやでも“あの才賀君”だよ? 私なんか誘ったりする?)
水島結衣<みずしま ゆい>は戸惑いながら、テーブルを挟んだ正面に座る才賀遥人<さいが はると>を改めて見つめた。
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