求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~
6 失恋のあと
パソコンの画面隅に目をやった結衣は、はあと疲れた溜息を吐いた。
時刻は午後五時すぎ。けれど仕事の終わりが全く見えない。
(今日も残業か……)
十二月に入ると慌ただしくなるのはいつものこと。
だからそれなりに対策をしているはずなのに、どうして毎年変わらず残業続きになるんだろう。
そんなことを考えながらぎしっと椅子を鳴らして席を立つ。
残業に備え、飲み物とおやつを買って来ようと思い立ったのだ。
エレベーターで一階に下り、一階のロビーをコーヒーショップに向かって歩いていると「水島さん」と声をかけられ、結衣は肩を震わせた。
(才賀君)
顔が見えなくても、短い言葉でも、声ですぐに分かってしまう。そして結衣の心は毎回過剰な反応をする。
まだ遥人を意識せずにはいられないでいた。
自ら希望を絶った同期会の夜からもう一月近く経っている。それなのに未だ平然と出来ない自分はなんて未練がましいのだろう。
遥人の方は何事もなかったように自然に接してくると言うのに。
気にしないでと言ったのは結衣だから、彼の態度は正しいのだけれど、気持ちがない方の清々しい程の割り切りを目の当たりにすると虚しくなる。
(仕方ないんだけどね……私も早く割り切らないと)
なんとか気持ちを落ち着かせ、声がした背後を振り返った。
時刻は午後五時すぎ。けれど仕事の終わりが全く見えない。
(今日も残業か……)
十二月に入ると慌ただしくなるのはいつものこと。
だからそれなりに対策をしているはずなのに、どうして毎年変わらず残業続きになるんだろう。
そんなことを考えながらぎしっと椅子を鳴らして席を立つ。
残業に備え、飲み物とおやつを買って来ようと思い立ったのだ。
エレベーターで一階に下り、一階のロビーをコーヒーショップに向かって歩いていると「水島さん」と声をかけられ、結衣は肩を震わせた。
(才賀君)
顔が見えなくても、短い言葉でも、声ですぐに分かってしまう。そして結衣の心は毎回過剰な反応をする。
まだ遥人を意識せずにはいられないでいた。
自ら希望を絶った同期会の夜からもう一月近く経っている。それなのに未だ平然と出来ない自分はなんて未練がましいのだろう。
遥人の方は何事もなかったように自然に接してくると言うのに。
気にしないでと言ったのは結衣だから、彼の態度は正しいのだけれど、気持ちがない方の清々しい程の割り切りを目の当たりにすると虚しくなる。
(仕方ないんだけどね……私も早く割り切らないと)
なんとか気持ちを落ち着かせ、声がした背後を振り返った。