求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~
(私が気にしないでって言ったからだろうけど)
あのとき、まだ遥人が好きで傷ついていると正直に言えば、彼だって気を遣って近づかないようにしたはずだ。
遥人に負担をかけたくなかったからとはいえ、そう決めたのは結衣自身。
(自業自得なんだろうな)
カウンターに着くと遥人はスマートフォンを取り出してから結衣に目を向けた。
「何にするか決まってる?」
「うん。私はホットココア」
遥人は頷くとコーヒーとココアを頼み、結衣が止める間もなく支払いまで済ませてしまった。
「え? あ……一緒に買ってくれたの? ごめん、席に戻ったら払うね」
慌てて言うと、遥人は小さく笑う。
「いつもお世話になってるからお礼と思って受け取って」
(あ……前にもこんなことがあった)