求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~

(才賀君は私のどこを好きになったんだろう……)

楽しく会話をしていたはずなのに、肝心なことは聞けていなかった。

なぜ結衣を好きになったのか、これからどう付き合っていくつもりなのか。

社内恋愛は禁止されていないので、社員結婚も比較的多い。けれど、同じ部署だと他の社員に配慮しておおっぴらにしていない場合もある。

その辺、遥人がどう考えているのか何も聞いていなかった。

ふと思い立ちバッグに入れたままのスマートフォンを取り出した。

アプリを開くと、遥人からのメッセージが届いていた。

『今、家に着いた。今日はありがとう』

短い文面でスタンプもなし。

遥人はメッセージを送り合うより電話で話す方が好きだと言っていたことがある。

結衣も直接会話をしたい方なので、気が合うと思ったのを覚えている。

『こちらこそありがとう、楽しかった。また明日ね』

気になることは直接会って話そう。明日会社で会ったら次の約束が出来たらいいのだけど。

既読になるのを見届けたかったけれど、襲って来た睡魔に抗えずいつの間にか眠りに落ちていた。

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