求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~
梓だ。彼女は苛立ちを押さえるように顔をしかめながら、結衣に頭を下げた。
「水島さんには迷惑をかけてしまいすみませんでした。お手数ですが引き続きよろしくお願いします」
一応謝罪はしているものの、まったく心が籠っていない。どちからと言えば逆ギレしているような。
それでも彼女が結衣に頭を下げるのは珍しいので、素直に言葉を受け取り頷いた。
そのあと、すぐに料理が運ばれてきたので食事にする。
梓が遥人に仕事の話を始めたので、結衣は口を挟まず黙々と残りのオムライスを食べるのに徹した。
洋食屋を出て会社に戻る途中、梓と菅原が再び口論を始めた。今度は忘年会ではなく仕事の内容で、結衣が関わっていないことだった。
相性が悪い上に、どちらも引かないのでエスカレートしそうになっている。
遥人が止めるだろうと思っていたが、予想外に彼は結衣の隣にやって来た。
「水島さん、ちょっといい?」
「うん、どうしたの?」
何の用か予想がつかない。少し緊張しながら答える。