求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~
7 初めからやり直したい
オフィスに戻ってからも動揺は続いたが、慣れているおかげで、てきぱきと手は動く。
むしろいつもより手早く、今日の目標を達成し、未着手の仕事にとりかかる余裕さえあった。

残業せずにオフィスを出て、遥人と待ち合わせをしている駅に向かう。

遥人はあの後、再び外出しておりそこから直帰で来るという。

恐らく梓も同行しているだろうから、彼女が強引に付いて来ないか心配だった。

けれど実際待っていたのは遥人ひとりだったので、ほっとした。

(でも、二人きりの気まずさはあるんだよね)

改札の前で待つ遥人に歩み寄りながら、できるだけ心を落ち着かせる。

遥人は近づく結衣に気が付くと、優しさの滲む笑顔になった。

「お疲れ」

「才賀君お疲れ様。ごめんね待たせちゃった?」

「いや時間通り、俺が早く着いていただけだから」

日中感じたどことなく重い空気は、今はない。
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